以前、パステルシャインアートという
ジャンルの本をご紹介しました。
今回はパステルの本の中でも
絵本、イラストの描き方の本をご紹介します。
パステルシャインアートは心理面重視なら、
こちらはやや技法重視かもしれません。
可愛い絵や温かみのある絵が好きな貴方、
お気に入りが見つかるかも。
パステルで絵本やイラストを描きたい人向けの本
「絵本、イラスト」寄りの絵は、
単純化したり形を崩したり
可愛らしい雰囲気の絵が多いです。
独特の世界観は
見ているだけで楽しくなってきませんか。
気になる本をチェックしてみて下さいね。
ダヤンのパステル教室…ソフトパステル
単行本: 63ページ
出版社: エムピーシー (1995/10/1)
著者:池田 あきこ
◆どんな人におススメ?
・ダヤン又は池田あきこさんのファン
・猫好きの人
・ソフトパステル初心者
前半は、パステルの種類や紙、
下絵の写し方などパステルを描くのに
必要な道具やテクニックについて書かれています。
そして、池田あきこさん書き下ろしの
イラスト付きで描き方が載っています。
ダヤンがパステルを握っている!
それ自体で絵本を読んでいるような
楽しい気分になりました。
紙の紹介は1ページだけのさらっとしたものです。
描く道具ではソフトパステル、ハードパステル、
オイルパステル、パステル鉛筆で
池田さんの感想もあり参考になります。
ソフトとハードは商品紹介が多く充実。
オイルパステルとパステル鉛筆は3つずつで少ない紹介でした。
後半は「ダヤンのパステル画集」で、
絵本の実際の描き方が載っています。
コマ割りはあまり多くなく説明は少なめ。
絵本を一緒に作っていくような
不思議な感じがしました。
また、要所でどんな色を使っているか
ダヤンの毛並みはどの画材で
どうやって描いているのかなども書かれています。
ファンでなくてもパステルを描く人には
充分参考になるのではないでしょうか。
素敵な色合いで、パステルを使ってみよう!
という気にさせてくれます。
私はダヤンのライトファンなのですが、
この本は宝物を探している気分にさせてくれます。
口コミについて。
ダヤンのファンの人が買う場合が多いですが
パステル初心者の人もいました。
どの人も買って良かったという声ばかりです。
ファンの人は作者の池田あきこさんの描き方や
「指の腹から血が出るほど画面をこすった」など
精神面を知って嬉しくなったようです。
初心者の人は描き方が参考になったり、
ダヤンの魅力を知った人もいるようでした。
描き方の基本 はじめてのパステル
…パンパステル以外の全パステル
単行本: 79ページ
出版社: 誠文堂新光社 (2009/12/1)
編集:KAIGAN
◆どんな人におススメ?
・どの種類のパステルを使うか迷っている初心者
・色々な系統の作品の描き方を見たい人
・実際に描けるワークがあった方が良い人
初めてパステルを使う人全ての人向けです。
その中でも特に、
どの種類のパステルを使うか分からない人に
おすすめです。
パステルの種類殆どを全体的にバランスよく
紹介しているからです。
作例は5人の作品があるので
自分に合った作風もあるかもしれません。
絵画系のパステル画も1点ありますが、
後はイラスト風の絵が多かったので
この記事で紹介することにしました。
女の子が好きそうな可愛い系の絵が多いです。
構成はこんな感じ。
第2章は、初級、基本の描き方の実践編
第3章は、応用編(中級と上級)の実践編
第4章は、読者が実際描けるワーク
1章…道具の説明が分かりやすくいです。
この1章はホントに良いと思います。
ただ、1種類ごとのパステルの商品紹介は
やや少なめです。パンパステルを除く
全種類のパステルを紹介しているので
ページの都合ですね。
商品はソフト、セミハード、ハード、オイル、
パステル鉛筆、水溶性パステルが紹介されています。
写真付きでとても見やすいです。
・パンパステルも含めた全ての種類のパステル
について知りたい方はこちらの記事もどうぞ。
特に良い点は、2つ。
画材の購入先が分かるように
問い合わせ先も1ページにまとめてあるところ。
オイルパステル用の定着液や道具の紹介がある
ところです。
(オイルパステル専用の本でなければ珍しい)
2章…初級編の描き方です。
ソフトパステル作例2つ、
オイルパステル(チョークアート)作例2つです。
3章…中級編では犬、子供たち、
豚のソフトパステル画の作例が1点ずつ
上級編では、可愛い
熊のソフトパステル画1点とオイルパステル画で
複雑なヨーロッパの建物の風景画1点、
ファンタジックなセミハードパステル画2点。
4章…1章から3章までの内容の絵を
そのまま実践できるワークになっています。
しっかりステップアップできます。
プロのイラストレーターが教えるパステル画テクニック
…パステル以外の画材併用
大型本: 111ページ
出版社: 誠文堂新光社 (2012/2/1)
著者:立花 千栄子
◆どんな人におススメ?
・パステル画のテクニックをもっと知りたい人
・他の画材との併用にも挑戦したい人
・ソフトパステルをある程度描いたことのある人
イラストレーター立花千栄子さんの
パステルの技法がまとまった本です。
この記事にある他の本と比べて
”パステルと他の画材との併用”に特化しています。
パステルの初心者で
パステルだけの描き方を教えてほしい人は
難しく感じるかもしれません。
パステルの基本的な描き方は
一応写真付きで説明されています。
とはいえ、作例として1STEPごとに
どの色をどこに置いたなど
説明されている訳ではない点に注意です。
基本的な描き方は分かるけど、
もう少し別のテクニックを試したい人に
おススメです。
技法は、例えば白い線を浮き出させるインプレッション、
墨とパステルの併用、ジェッソとパステルの併用など。
題材は風景や花で人物は載っていないです。
絵は和風のしっとりと落ち着いた感じで
可愛らしさもあります。
また、立花さんの著書で先に出版された
「すぐ上手くなるパステル画の描き方」は、
少し絵画的な絵が多いです。
今回のパステル画テクニックは、
よりまとまっていて、題名のとおり
イラスト化が進んでいるように感じました。
パンパステルではじめる!ふんわりやさしいパステル画
…パンパステル(ソフトパステルで代用可能)
単行本:79ページ
出版社 : マール社 (2014/6/20)
著者:船本清司、船本礼子
◆どんな人におススメ?
・パンパステルの初心者
・パリ風なおしゃれな絵が好きな人
水彩ガッシュ講師の船本さん夫妻が共同で
書いたパンパステルの描き方の本です。
パンパステルは近年アメリカで開発された
新しいパステルですね。
このパステルは広い面を塗ったり混色が得意で
発色も良いのが特徴です。
パンパステルがない場合は
ソフトパステルでも代用可能とのことです。
ソフトパステルも基本の塗り方のみ載っています。
この本はとにかくシンプルで
写真が大きく読みやすい。
パンパステルの描き方が一貫して載っていますが、
分かりにくいという所がありませんでした。
巻末には作例ごとの下絵が載っており、
下絵の写し方(トレース)の方法も写真付きで
あります。
作例ごとに使う色も全て載っています。
混色する場合は色を「多め、少なめ」なども
書かれていて親切ですね。
作例は花、野菜、果物、風景で
人物はありません。
絵の感じはとてもおしゃれなパリ風
と言えば分かるでしょうか。
道具はパンパステルの作品を描くのに
必要なモノの説明に徹しています。
周辺道具としてのスポンジの種類、
お手入れ方法、代用品も載っているので
買う道具もはっきりしています。
また、消しゴムで色を抜く方法に
特に重点を置いています。
プラスチック消しゴム、練り消しゴム、
ホルダー式消しゴムとそれぞれの使い方も
何度も出てきます。
シンプルなのでパンパステル初心者にも
敷居が低く、実際にすぐ描きやすいと思います。
ソフトパステル初心者にも参考になりますが、
道具や基本的技巧の説明は別の本が必要になる
と思いました。
パンパステルを買って使ってみたくなる本です。
私もいずれ下地に使ってみたいです。
クレヨンブック―プロから学ぶ、楽しく描く
…クレパス(オイルパステル)
単行本: 128ページ
出版社: 誠文堂新光社 (2012/9/1)
著者:米津 祐介
◆どんな人におススメ?
・米津 祐介 さんのファン
・子供のような感性を求める人、楽しく描きたい人
・温かみのある平面的な絵を好む人
・クレパス(オイルパステル)に興味ある人
著者の米津さんは、
ある大学のデザイン課程を卒業後、
イタリアボローニャ国際絵本原画展で
入選されたこともある方です。
本の中で使っている画材はサクラクレパスの
クレパス太巻というオイルパステルの1つです。
千円ちょっとで文房具店などで売られています。
使っている画材は6Bと4Bの鉛筆とクレパス。
”削る”という技法で使われている道具は
割り箸やカッターナイフやシャーペンの先。
身の回りにある物ばかりで親しみやすいです。
ご本人がこの本のテーマは
「絵を描くことは楽しい」ということを
読者に伝えたい、とおっしゃっていました。
本文でも繰り返し上手に描く必要はない、
と伝えられていて…
肩の力が抜けるような感じがして
楽に読み進められましたよ。
本の構成も上手いな、と思いました。
基本の形〇△□を使って
簡単なモノから描いてみようから始まり、
少し複雑な物を描いてみように続き、
無理なくステップアップできそうです。
1つの絵を仕上げるのも
4STEPのみなのが凄いです。
長くて5、6分で描けるようになっています。
その絵に使ったクレパスの色とかかる時間も
左上に掲載されています。
クレパスを削ってディティールを表現する方法も
出てきます。
この辺りが描けたら終わりということでなく
終盤には米津さんの描いた参考作品が
載っています。
これを手掛かりにすることもできるようにとの
配慮だと思います。
私は、デザイン的なモノはよく分からないのですが、
それでも温かみのあるイラストで
どこか懐かしいような感じがしました。
人気の理由も分かる気がします。
また、クレパスの技法書は”クレパス画辞典”という
サクラクレパス出版の本とこの本だけです(2012.4.8)。
クレパス画辞典は絵画制作向けで、
使っている画材はプロ用のクレパスです。
米津さんの本はイラスト制作向けですね。
どちらも貴重な本だと思います。
図書館で借りると
地下書庫から取り出されたりしますよ。
◆まとめ
絵本、イラスト向きのパステルの本は
全体的に楽しい雰囲気のものが多いですね。
殆んどの本が
初めてパステルを手にとる人にも読みやすく
すぐ真似して描けるような楽しい本ばかりです。
パステルを描いたことあるよ、という方も
シンプルにまとまった技法の詰まった
これらの本を読むことで
更にパステルへの理解が深まるのではないでしょうか。
気になる本があれば是非、参考にしてみて下さい。
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