パステル画を始めたいけど、
どう描いたらいいか迷っていませんか?
ちょっとしたコツを知るだけで、
描きやすさや仕上がりは
大きく変わります。
この記事では、
初心者の方でも使いやすい
パステルのテクニックをご紹介します。

ドライウォッシュ(粉末塗り)

パステルを粉末状にしてから
紙に刷り込んで色をつけるテクニックが
ドライウォッシュです。
水彩の技法のウォッシュと似ていて、
画面を均一に塗ることができます。
そのため、
本格的に描きこむ前に
紙全体に色を付ける下塗りとして
使われることが多いです。
方法は2つあります。
方法1・指でぼかす
①
ソフトパステル(ハードパステル可)を
カッターで粉状にします。

②
指でパステルの粉末を
紙の表面で軽くこすり、
紙全体にぼかします。

方法2・布やティッシュ、コットンでぼかす
①
ソフトパステル(ハードパステル可)を
カッターで粉状にして、
陶器の皿など入れます。
直接、紙の上に粉末を落としても
大丈夫ですが、少し粉の量の調節が
難しい人もいるかもしれません。

②
粉末を布などに含ませてから
紙の表面にこすり付けて
紙全体に色をぼかし広げます。


ドライウォッシュのポイント
■ソフトパステルとハードパステル
どちらも使える?
どちらも使えますが、
下塗り用のドライウォッシュには
ハードパステルの方がおすすめです。
ハードパステルは紙への定着がよく
上に色が重ねやすいからです。
■カッターの代わりは?
ぼかし網や茶こし、粉振るいなどで
パステルを粉末にすることができます。
カッターでパステルを削ると
粉の大きいものが出る場合があり、
ぼかすと紙面でムラになりやすいです。
粉末はペインティングナイフなどで
潰して小さくしておきましょう。
■指とティッシュでぼかすのに違いはある?
パステルの粉末を何でぼかすかで
ぼかし具合に違いがでます。
指でぼかすと色がしっかりと出て、
布などでぼかすと、繊維に粉がつくため
薄づきになりやすいです。

【補足】ドライウォッシュ以外の下塗り方法
パステル画の下塗りには、
ドライウォッシュ以外にも
方法があります。
表現したいイメージに合わせて
使い分けてみてくださいね。
■水彩絵の具やアクリル絵の具を使う
あらかじめ絵の具で背景色を
塗っておく方法。
パステルの粉の定着を助けたり、
独特の重厚感を出せます。
■ハードパステルの側面(腹)で塗る:
削らずにパステルの側面を使って、
画面全体にざっくりと色を乗せる方法。
素早く手軽に下塗りしたいときに便利です。
■パンパステル(PanPastel)を使う:
最近人気のあるコスメのようなケースに
入ったパステルです。削る手間がなく、
専用スポンジで塗り広げるだけで
簡単に広い面の下塗りや
綺麗なグラデーションが作れます。
ただ、値段が高めです。
ラインストローク(線描き)

ハードパステル、ソフトパステルを
立てて線を引く方法です。
パステルの角を使い、
筆圧や角度、線の長さ、描くスピードを変えると、
さまざまな表情の線を描くことができます。
特に、仕上げで
筆跡(タッチ)を残したいときに
効果的な技法です。
筆圧のコントロールするときは、
パステルを持つ位置を変えてみましょう。
また、ソフトパステルは
少し筆圧を強くするだけでも折れやすいですが、
折れたパステルは新しい角(エッジ)ができるため、
細い線が引きやすくなります。
ハッチング(平行線引き)

短い斜めの平行線を、
同じ方向に複数引いて、
面を埋めるテクニックです。
細い線を描くため、
ハードパステルやパステル色鉛筆が
向いています。
ソフトパステルでも、
角を使えば描くことができます。
ハッチングは、一方向から
線をいれるのが基本です。
また、違う色を重ねてハッチングすると
色を混ぜずに混色したような効果を
出すこともできます。
ただし、線を重ね過ぎると
色が濁って見えることがあるので
注意しましょう。
クロスハッチング(平行線引き×2)

それぞれ違う方向のハッチングを
重ねて、面を埋めるテクニックです。
ハッチングと同じく、
ハードパステルやパステル色鉛筆で
描くことが多いですが、
ソフトパステルでも描くことができます。
違う色を使って
2重、3重に重ねて描くと、
線の重なりによって、
微妙な色合いを作ることができます。
例えば、
下の層に暗い色を使い、
その上に明るい色を重ねると、
色に深みが出すことができます。



サイドストローク(面描き・平塗り)

ハードパステルやソフトパステルを
寝かせて、パステルの腹で描くテクニックです。
主に広い面積を塗るときなどに使います。
下書きとして使う
サイドストロークは、
作品の基礎づくりにも使えます。
パステルの腹を使って、
明暗や形、色を
大まかに描いていきます。
特に風景画の下描きで
使うことの多い方法です。
この下描きには、
ハードパステルがよく使われます。
ソフトパステルに比べて
粉っぽさが少なく、
紙への定着力が良いためです。
一方、細かな形を
最初から決める必要がある
肖像画や静物画などでは、
サイドストロークでの下描きは
あまり向いていません。
作品の表現にも使える
サイドストロークは、下描きだけでなく、
作品の仕上げや画面の表現にも使えます。
例えば風景画では、
雪景色のキラキラした感じを
表すときにも使われます。
この場合は、ソフトパステルを使って
点描に近い、短いサイドストロークを重ねます。
タッチを変えてみる
サイドストロークは、
筆圧やパステルの長さ、
描く向きによって
筆跡(タッチ)が変わります。
長いパステルを
そのまま使うだけでなく、
表現したいタッチに合わせて
短く折って使うのもおすすめです。
実際に、
長いソフトパステルを折り、
向きや力を変えることで、
さまざまなサイドストロークを
描くことができます。

●ワンポイント
短くなりすぎたパステルは、
私は粉末状に削って、
100円ショップの小さい容器に入れて
保管しています。
必要になったときに取り出して、
ドライウォッシュに使っています。

スティプリング(点描)

ハードパステルやソフトパステルの角で
点やごく短い線を描くテクニックです。
特に光がキラキラと輝く様子を
表現するのに向いています。
絵具は混色をする度に濁りますが、
この方法なら濁ることがなく、
鮮やかな色のまま描くことができます。
(例)同系色2色と白の点描
青色でドライウォッシュした後
点描した例です。
上側:赤系2色と白の点描
下側:黄色系2色と白の点描

ブレンディング(混色)・ぼかし

ソフトパステルを
指や布、筆などでこすって伸ばすと、
色をぼかしたり、
違う色を混ぜたりすることができます。
ぼかしは、
輪郭や色の境目をあいまいにすることで、
混色(ブレンディング)は、
2色以上を混ぜて別の色を作ることです。
ブレンディングの2つの使い方
- 隣り合う色を混ぜる
グラデーション(色の段階)を
作ることができます。 - 色を重ねてから混ぜる
違う色を作ることができます。
隣り合う色を混ぜる




色を重ねてから混ぜる
●例・赤と黄色を混ぜる




●例・紫と白を混ぜる




道具による違い
指にはわずかに油があって、
ぼかすとパステルの粉が
紙につきやすいです。
他にも布、筆、刷毛など
ぼかす道具により、
印象は変わります。
細かい部分をぼかすのには、
擦筆(さっぴつ)や綿棒を使います。
ただ、これらは繊維でできているため、
パステルの粉を少し取ってしまいます。
それを逆に利用して、
色を少しだけ除く修正にも使えます。

ぼかしすぎに注意
注意点としては、
全ての部分をぼかしたままだと、
ピンボケのようなのっぺりした
弱い印象の絵になってしまうことです。
良い使い方としては、
ぼかした層の上にラインストローク等で
ある程度描いて仕上げると、
絵の印象が締まりメリハリが生まれることです。
重ね塗り(フェザリング・スカンブリング・スクリブリング)

重ね塗りは、パステルで1層目を塗った後、
2層目以降を重ねて塗っていく
色の層を作るテクニックです。
重ね塗りには色々な塗り方がありますが、
2層目以降を軽いタッチで描いて、
下の色が透けて見えるようにする点は同じです。
普通、1層目は暗い色や渋めの色を塗り、
2層目以降
段々明るい色や鮮やかな色を塗ります。
重ね塗りにはフェザリング、スカンブリング、
スクリブリングなどがあります。
使うパステルはソフトパステル、ハードパス
テルです。
どのパステルをどの色の層に使うかは、
完成作品のイメージや本人の好みによります。
フェザリング(羽のようなタッチの平行線)

フェザリングは、一層目にパステルで平塗りした上に
パステルの先端又は角を使って
羽のような軽いタッチの短い線を複数引いていく
テクニックです。
ぼかし過ぎてのっぺりした画面の色を
鮮やかにすることができます。
・ソフトパステルで濃い紫を塗り、指でぼかします。

・青味がかった明るいグレーで軽く短い直線
を斜めに上から下に向かって引きます。
一方向からならどの方向でもOK。

・指でぼかして色を落ち着かせます。

・色は馴染みましたが、ぼんやりとしています。

・もう一度フェザリングします。

・フェザリングした部分が活き活きとしまし
た。フェザリングはぼんやりしてしまった
画面を復活させることができました。

重ね塗りし過ぎて粉落ちが心配な場合はフィ
キサチーフで固定してからフェザリングする
と上手くいく場合があります。
スカンブリング(透かし塗り、擦りぼかし)
スカンブリングとは、ある色の上に
別の色を薄く重ねて塗る方法です。
1色目は色つき紙であっても
白い紙や色付き紙に色を塗ってもよく
その上に2色目、3色目と
重ね塗りします。
1色目の塗り方は何でもよいです。
上に塗り重ねる色の塗り方が重要で
2色目以降は、ごく軽いタッチで
平塗り又は連続した線で描き
下の色が見えるくらい残して
描くのを止めます。
2色目以降の良くない描き方とは
強いタッチで描いて下の色と混ざったり
下の色が見えなくなるくらいまで
塗ったり描いたりすることです。
スカンブリングの効果は
下の色がかすれた上の色の間から
チラチラと透けて
光って見えさせるという錯覚です。
それぞれの色が遠めに見ると
目の錯覚で混ざり輝きます。
もっと効果的にするには
色同士が画面の上で混ざらないように
1色ごとに
パステルフィキサチーフをかけてから
別の色を塗るのが理想的です。
とはいえ、これをすると
消すのが難しく修正が効き難くなるのは
覚えておいて下さい。(2024.1.9追記)
ベールのように透かし塗りする方法(透かし塗り)

スカンブリング(透かし塗り)は
主にソフトパステルで
1層目に腹の部分で平塗りした後
2層目に力を抜いて薄く平塗りする方法です。
力を抜くことで、
上の色はベールをまとったようにかすれて
下の色が透けて見えます。
紙の色や1層目のパステルの色を暗めにして
2層目を明るめにすると
色が光って見える視覚的効果があります。
・青いソフトパステルを平塗りして
指でぼかします。

・その上に白いソフトパステルの腹を使って
軽い筆圧で横になぞります。

・下の青が透けて見えることがポイントです。

・指の腹で少しだけこすって馴染ませます。

・スカンブリング(透かし塗り)の完成。

ぼかし具合によっても雰囲気は変わります。
やり過ぎると、混色されて
鈍い色になってしまいます。
ポイントとしては描いた色を
あまりぼかし過ぎないようにすることです。
連続した線を重ねてぼかしヴェールを作る方法(擦りぼかし)

スカンブリングは透かし塗りと訳しましたが
その応用方法がこちらです。
これもスカンブリングで
よく擦りぼかしと訳されています。
1層目を軽いタッチでクルクルと
線で適当に円を描き
指でぼかします。
2層目の同じように
適当に線で円を描きます。
下の色が見える程度にです。
3層目も描くなら
同じ要領でクルクル円を描きます。
普通は、1層目に暗い色から始めて
上の層に明るい色を重ねていきます。
逆に1層目に明るい色、
2層目以降を暗い色にすると
結果は明るすぎる画面を落ち着かせられます。
スカンブリングは
細かい描き込みが必要ない広い面、
背景に使うのに向いています。
つまり背景を塗る時使うことが多いです。
・一層目に
青のソフトパステルで
円を描いて指でぼかし、
2層目に白のソフトパステルをクルクルと
軽いタッチで円を描きます。

・指でぼかします。

・2層目に白のソフトパステルで
円を描いて出来上がり。
下の青色が透けて見えています。
ムラのある柔らかな印象に仕上がりました。

スクリブリング(走り描き)
画像kai.jpg)
スクリブリングとは
ある色の上に別の色の短い線を
ただ好きなように重ねて描く方法です。
もとは、
線で素早く描く素描を指すみたいですが
パステル画では、重ね塗りの一種です。
先に紹介したスカンブリングと同じく
このスクリブリングも上の色のすき間から
下の色がチラッと見えることで
視覚的にそれぞれの色が混ざって見えます。
また、スクリブリングと同じで
線を引く時には上の色の塗るのは
下の色が見えるくらいまでで
やめておくのがコツです。
上の色は明るく、下の色は暗くすると
光って見える効果がでます。
逆に上の色は暗く、下の色は明るくすると
下の明るすぎる色を
落ち着かせることができます。
(2024.1.9追記)
スカンブリングとスクリブリングの違い
スカンブリング(透かし塗り、擦りぼかし)と
スクリブリング(走り描き)とは
見た目が良く似ています。
両方とも好きなように線を重ねて
いる点でも似ています。
違いは
スカンブリング(透かし塗り、擦りぼかし)が
連続した線や面を使って描くのに対して
スクリブリング(走り描き)は
別々の線を引く傾向があることです。
とは言え、
上の色から下の色を透かして
見えるようにすることは共通しています。
これはこうだから、と気にしないで
描いていきましょう。
インパスト(厚塗り)

インパストとは、油絵のように
色を何層も重ね塗りして
厚く塗ることを言います。
重ね塗りとの違いは、
下の色が殆ど見えなくなる点です。
インパストの効果は存在感が増すことです。
全体に厚塗りするより、見せたい箇所に部分
的に使うと良さそうです。
コツは、2層目以降の色を塗る前に
パステルフィキサチフ(定着材)を画面に
スプレーしておくことです。
そうすることで粉落ちをある程度防げます。
フィキサチーフの種類は制作途中で使うため
ターレンスジャパンのパステルフィキサチーフを
使って下さい。
紙選びもとても重要です。
日本ではサンドペーパーはホームセンターで
大工用のサンドペーパーが売っていますが、
サイズが小さいです。

上の猫の絵は、
私が大工用のサンドペーパーを使って
描いた作品です。
ソフトパステルがサンドペーパーに
食いつくようで
パステルの減りが早いのに驚きました。
サンドペーパーの上で指をこすると痛いので
加減しながらやりました。
ぼかす作業は、ほぼ必要ないです。
粉飛びが少ないのは良い点で
細かい描写はあまりできないです。
大胆な表現と存在感がキーワードです。
簡単な厚塗りなら、
キャンソン社のミ・タント紙。
厚めの画用紙か、コットン多めの水彩紙です。
もう少し厚塗りならサンドペーパーが
いいですが、小さいサイズしかないので
大きい作品にしたい場合は
代わりにキャンソンのミ・タント・タッチと
いう特殊紙がおススメです。
注)お値段高め!
ミ・タント・タッチ紙の特徴は2つです。
1つ目は、パステルフィキサチーフが必要
ないこと。
2つ目は表面がザラザラしていて強くこする
と指の腹を痛めてしまうことです。
(2024.1.9追記)
描き方が分かってきたら、
次は道具も整えていきましょう。
これからパステルを始める方は、
道具選びも参考にしてみてください
↓
まとめ
・下塗りにはハードパステルでドライウォッシュ
又はサイドストローク(平塗り)
・ブレンディング(混色)とぼかしは
パステル画の基本。ぼかし過ぎ注意
・重ね塗りは軽いタッチで下の色を透けさせる
パステルの塗り方や技法を試していても
「なぜか色が濁ってしまう」と
感じることはありませんか?
実はこれ、センスではなく、
色の組み合わせを知らないことが
原因です。
反対の色を混ぜすぎてしまったり、
感覚で色を選んでしまうと、
きれいな発色が出にくくなります。
こうした基礎的なポイントは、
無料のパステル基礎メール講座で、
初心者の方にも
分かりやすくお届けしています。
よろしければ、
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最初に知っておくだけで、
かなり描きやすくなります。
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