日本では子供の頃から親しみのある
クレパスという画材。
クレヨンと混同されがちですが、
クレパスは商品名であり
オイルパステルの一種です。
ところで、そんなクレパスを含めた
オイルパステルの”基本的な使い方”はどうでしょうか。
安価なオイルパステル6種類を比べながら
基本的技法についてまとめてみました。
比較したオイルパステルは
サクラクレパス2種類、ぺんてる2種類、
ムンギョ、ファーバーカステルです。
目次(押すとその記事にジャンプします)
- 1 オイルパステルの線描き&面描き
- 2 オイルパステル6種類でグラーデーション作り比較
- 3 オイルパステル6種類でグラデーション作り【実践】
- 4 オイルパステル6種類でグラデーション作り【比較結果】
- 5 スクラッチ技法(オイルパステル6種類で比較)
- 6 スクラッチ技法(オイルパステル6種類で比較結果)
- 7 ステンシル技法(オイルパステル6種類で比較)
- 8 ステンシル技法(オイルパステル6種類で比較結果)
- 9 マスキング技法(オイルパステル)
- 10 もりあげ技法(オイルパステル6種類で比較)
- 11 もりあげ技法(オイルパステル6種類で比較結果)
- 12 こすり出し(オイルパステル6種類で比較)
- 13 こすり出し(オイルパステル6種類で比較結果)
- 14 混色(オイルパステル6種類で比較)
- 15 混色(オイルパステル6種類で比較結果)
- 16 オイルパステルで自分の好きな色を作る(調色)
- 17 ◆まとめ
オイルパステルの線描き&面描き
オイルパステルで【線描き】

オイルパステルを立てて鉛筆のように持ち、
角を上手く使って線を引きます。
オイルパステルは殆んどが丸型ですが、
四角のものもあります。
丸いものは、
力を抜いて円のフチを転がすようにすると
更に細い線が引けますよ。
オイルパステルで【面描き】


オイルパステルを折って、
横にしてから軽く指でつまみ
紙の上を何度も滑らせます。
あまり強い力でこすり過ぎると
紙の目が潰れる上、
オイルパステルのカスもたくさん出てしまい
塗りこむのも手間がかかります。
といっても、力が弱すぎると
なかなか紙の白い凹凸の溝凹が埋まりません。
力加減を気にしてみると、
割と上手くいきやすいなと思います。
巻紙は色の名前やナンバーを知るために
取っておいてもいいですね。
私は捨てました。
色数が増えてきたりすれば
カラーチャートを作るかもしれませんが。

オイルパステル6種類でグラーデーション作り比較
グラデーションを作るとは
2つの色の境目をぼかして色の階調を作る
なんて言い方をします。
つまり色が少しずつ変わっていくようにすることです。
オイルパステルのグラデ作りのやり方には
3つあります。
指でぼかす、布でぼかす、テレピンなどの
揮発油(きはつゆ)でぼかす(ふきとり技法)です。
揮発油は蒸発するので、
窓を開けて換気を充分して下さい。
最初に言ったとおり、
6種類のオイルパステルを比較をしました。
オイルパステル6種類でグラデーション作り【実践】
やり方は、先に明るい色を塗ってから
位置をずらして暗い色を塗ります。
それから、境目を指、布、油を含ませた布で
それぞれぼかします。
綺麗なグラデーションかどうかを見ます。
1、【共通】明→暗の順に色を塗ります。
ここでは黄色→赤の順番に塗ります。

2、【表の一段目】指でぼかす

3、【表の2段目】2色を塗った後、布でぼかす

4、【表の3段目】2色を塗った後、
テレピンという揮発油を布に含ませてぼかす
写真は揮発油テレピンです。
ほかにぺトロールという油絵具の溶き油なども使えます。



オイルパステル6種類でグラデーション作り【比較結果】

結果は布でぼかす方法が一番無難でした。
全種類とも、
だいたい綺麗にグラデーションを作れます。
6種類の中で指でぼかすのが得意なのは、
ぺんてる専門家用パスとムンギョでした。
子供用のぺんてるパステルも
普通にぼかしやすかったです。
油を含ませた布でぼかすのは、
クレパススペシャリスト1つが飛びぬけて
いい感じにグラデーションが作れました。
その後にぺんてる専門家用パスが続きます。
その他は正直、微妙かなという感想です。
スクラッチ技法(オイルパステル6種類で比較)
”スクラッチ技法”は
色を2つ以上重ねて、上の色を道具でひっかき
下の色を出す方法です。
オイルパステルの技法のうち、
特に簡単で効果が出やすい方法みたいです。
ひっかく道具はサクラクレパスの
クレパスマスターツールキットという
専用の道具もあります。
でも、自作で道具を作ったり
工具などを使う人もいます。
【オイルパステルのスクラッチ比較で使ったもの】
2種類の紙に6種類のオイルパステルを
同じ位置に2色重ねて塗った後ひっかきます。
そして綺麗に模様が出るかどうかを見ます。
紙はケント紙とミ・タント紙のボードを使います。
・ケント紙
ツルっとした光沢のある安価な紙です。
よくイラストで使われているようです。
一般的にケント紙はオイルパステルには
不向きの紙と言われています。
但しスクラッチ技法では
綺麗にスクラッチできるので
例外だということです。
・ミ・タント紙
凹凸がほどよくあり、
パステルではよく使われる人気の紙です。
スクラッチするには少し薄いので、
ミ・タント紙を厚紙に貼り付けた
ボードというのを使いました。
【オイルパステルのスクラッチ比較のやり方】
ケント紙、ミ・タント紙の両方で、
同じやり方をします。
1、最初にピンク色を塗り、
その上に緑色を塗り重ねます。


2、それから、
クレパスマスターツールキットという
ひっかく道具を使って
花の模様をひっかいて描きます。

スクラッチ技法(オイルパステル6種類で比較結果)
【ケント紙】編
改kai-1.jpg)
【キャンソンのミ・タント紙】編
改kai-1.jpg)
大雑把にいうと、
ぺんてる専門家用パスとムンギョは
スクラッチの模様が出にくい、
それ以外のオイルパステルはOK
という結果になりました。
細かくいうと、紙に関係なく
サクラクレパス太巻き、クレパススペシャリストと
ファーバーカステルがスクラッチがよく出ます。
ファーバーカステルは厚塗りができないので
スクラッチは殆んど出ないだろうと
予想していたので正直意外でした。
一番スクラッチに不向きなのは
ぺんてる専門家用パスでした。
ぺんてるパステルは
ミ・タント紙は微妙でしたが、
ケント紙ならスクラッチが綺麗に出ました。
逆に、ムンギョは
ひっかかりのあるミ・タント紙が
厚塗りが若干できたためか
スクラッチが割と綺麗にでました。
スクラッチが出にくい
”ぺんてる専門家用パス”も”ムンギョ”も
硬めで不透明です。
それがスクラッチの出方と関係してる?
と思いました。
どちらも、そもそも硬いので
広い面に重ね塗りするのに
大変手間がかかりますので、
あまりスクラッチ向けではないのかもしれません。
サクラ2つ→OK
ペンテルパステル→ケント紙OK、ミタント紙可
ぺんてる専門家用パス→不可
ムンギョ→ケント紙不可、ミ・タント紙可
ファーバーカステル→OK
(但し厚塗りできない。
つまり2層塗りでスクラッチしてから、
更に3層目、4層目と重ねるのは
難しいということ。)
ステンシル技法(オイルパステル6種類で比較)
ステンシル技法は、
薄い紙をくりぬいた型紙を作って
ぬいた部分だけに色を塗る方法です。
そして、はっきりした形が出るのが特徴です。
オイルパステルは
輪郭をはっきりさせるのが苦手なので
そういう時はこの方法を使うとよいです。
オイルパステルだけでなく
ソフトパステルでも
このステンシル技法はよく使われます。
また、直線の形を出したい時は
マスキングがあります。
オイルパステルのステンシル技法比較のやり方
1、コピー用紙で葉っぱの形を描いて
カッターでくりぬき、型紙を作ります。


2、それを画用紙の上にあて、
くりぬいた部分にオイルパステルを塗ります。
”ぼかし”には布を使いました。
この方法で形がきちんと出るかをみます。


ステンシル技法(オイルパステル6種類で比較結果)

※どのオイルパステルも
葉っぱの形がちゃんと出ました。
問題なさそうです。
マスキング技法(オイルパステル)
マスキング技法は色を付けたくない部分を
マスキングテープやマスキングシート、
型紙などで覆い、
周辺をオイルパステルで塗る方法。
これはどのパステルでもできるはずなので
比較はしていません。
それとマスキングには
型紙を使うマスキングと
マスキングテープを使うマスキングとを
実際にやってみました。
型紙を作ってマスキングする方法
1、コピー用紙で
葉っぱの形の型紙を作ります。
葉っぱの形は適当でもいいですが、
私は手元に葉っぱがあったので
それを使いました。
フチをなぞって形を描き、
はさみで切ります。


2、1で作った型紙を描く紙に置いて
マスキングし、その周りをオイルパステルで塗ります。
描く紙は”画用紙”を使いました。

葉っぱの形のほかに、
波型の型紙も作ってマスキングしてみました。

※マスキング用の型紙作る紙の厚さは
”薄め”が良いとのこと。コピー用紙以外には
トレーシングペーパー、マスキングシートなど。
但し、トレーシングペーパーは破れない程度の
しっかりした紙質を選んでください。
薄すぎると破れます。
マスキングテープでマスキングする方法
1、マスキングテープを適当な長さに切って
画用紙に貼ります。
粘着力が強い場合は、机や自分の肌などに
何度か貼り付けて剥がすと
剥がしやすくなりますよ。

2、マスクした以外の部分を
オイルパステルで塗ります。



もりあげ技法(オイルパステル6種類で比較)
盛り上げ技法は、
オイルパステルを画面にこすりつけて
立体的に盛り上げる方法です。
油絵の厚塗りに似た表現ができます。
2つの方法があります。
1、オイルパステルを柔らかく指でまとめて
画面に貼り付ける
まず、オイルパステルを
紙やプラスチック板の上で
強く何度もこすって柔らかくします。
これでカスを意図的に出します。
カスを道具で集めて指で丸め、
紙面にこすりつけて盛り上げます。
2、火であぶって
ペインティングナイフで画面にこすりつける
火であぶるの方法は熱が加わるので、
紙ではなくキャンバス地などが適当かもしれません。
今回はこの方法はやっていません。
オイルパステルの「もりあげ技法」の比較で使ったモノと準備
今回は、1のオイルパステルを指でまとめて
画面に貼り付ける方法をやってみました。
用意した紙は2つ。
描く紙として
100円ショップの茶色いカレンダーの裏
オイルパステルのパレット代用として
マルマンの画用紙。
本当はプラスチック板を使うといいみたいです。

まず、準備として100円ショップのカレンダーの裏に
イチョウの木の幹を描きました。
葉の部分に6種類の柔らかくしたオイルパステルを
小さく丸めて紙にこすりつけます。
ちゃんと画面についているかなどを見ます。
オイルパステルの「もりあげ技法」比較のやり方
1、パス(オイルパステル)を
画用紙に何度もこすりつけて
手の熱と摩擦で柔らかくします。

2、柔らかくなったパスは、
カスのようなモノがパス自身や
紙に付着するので道具でそぎ落とします。
道具はクレパスマスターツールキット
の1つです。

3、そぎ落としたパスを
指で1つにまとめます。

4、適宜、ちぎって小さく丸め直し
作品用の紙にこすりつけます。

もりあげ技法(オイルパステル6種類で比較結果)
kai-1.jpg)
サクラクレパス2つとペンテルパステル(子ども用)が
盛り上げ技法を簡単にできました。
逆に、ぺんてる専門家用パスは
バラバラと粉っぽくて柔らかくなりにくく
指で丸めるにも少し苦労しました。
紙面への付き方も取れるかもしれないような
危うい感じがします。
盛り上げには向かないようです。
まぁまぁだったのは、
ムンギョとファーバーカステル。
ムンギョは盛り上げは
クレパスとほぼ同じようにできますが、
練り上げに少し時間がかかってしまいました。
ファーバーカステルは柔らかく
紙面にもよくくっつきますが、
薄塗りであまり盛り上がりません。
こすり出し(オイルパステル6種類で比較)
物の上に紙を乗せて、
その紙の上をオイルパステルでこすります。
すると、模様が現れます。
この方法は
オイルパステル以外の棒状の画材でできます。
例えば鉛筆やクレヨン、ソフトパステルなどです。
こすり出しは、子供の頃にやったことある人も
多いのではないでしょうか。
オイルパステルの「こすり出し」の比較方法
サクラの葉とすだちの葉の上に画用紙を乗せ
紙の上からオイルパステルでこすります。
6種類のパスごとに模様の出方をみます。


こすり出し(オイルパステル6種類で比較結果)

ぺんてるの2つのパスが
葉脈の模様まで綺麗にでました。
サクラクレパスの2つのパスも葉
脈模様がでましたが、
若干上下に模様が間延びして
汚くなってしまいました。特に
クレパススペシャリストの伸び方が汚いです。
これは好みによると思います。
ムンギョとファーバーカステルは
葉脈がきちんと出ませんでした。
混色(オイルパステル6種類で比較)
2つ以上の色を混ぜて別の色を作ることを
混色といいます。
オイルパステルは基本的に混色が苦手です。
そもそも棒状の形は
液体で溶いて使うような形ではないですね。
でも、少しは混色できるのか?気になり、
試してみました。
オイルパステルの「混色」の比較方法
画用紙に先にオレンジ色を塗ります。
その上に青を塗り重ねます。ぐりぐりと。
それで、どのくらい色が変化するかを見ます。
オレンジに青ですから
混ざるとこげ茶っぽい色になるはずです。

混色(オイルパステル6種類で比較結果)

混色されたのは、
ぺんてる2つとムンギョです。
特によく混ざったのは
ぺんてる専門家用パスでした。
あまり混ざらなかったのは
サクラクレパス2つ。
特にスペシャリストは混ざりにくかったです。
だからスクラッチ技法では
綺麗に下の色が出るのかもしれませんね。
酷かったのはファーバーカステルです。
混ざりはしますが、
上の色が下の色をこそげ落としてしまい
混ざり方が汚いです。
オイルパステルで自分の好きな色を作る(調色)
欲しい色を作ることを調色というそうです。
先ほども触れましたが、
オイルパステルは基本的に混色が苦手です。
でも欲しい色がなかったら
どうしたら良いでしょうか。
2色以上を混ぜ合わせて作れば良いです。
え?混ぜるの苦手だって言ってたのに?
と思われましたか。
確かに苦手なんですが、
混ぜ方に手間をかければできる
という感じです。面倒ではあります。
この方法について
パスごとの比較しませんでした。
正直、時間がかかり過ぎる割に
効果が感じられず、
あんまり使わないかなと思いました。
個人的感想としてはやはり、
色数を揃えた方が効率が良いです。
オイルパステルの調色のやり方
1、木の背景の空の色を
淡い水色にしたいとします。
使ったのはサクラクレパスふとまきですが、
水色が少し濃すぎると感じたとしたら
みずいろ+しろ
で淡い水色を作ります。
まず、オイルパステルを柔らかくして
カスを集めます。
本来は「作品の紙」とは「別の紙」の上で
オイルパステルをこすって柔らかくします。
でも今回はお試しなので、
描く紙の上でやります。

2、柔らかくなったパスは
パス自身や紙面上にくっついています。
それらを道具を使ってそぎ落とします。
ここで使っているのは
ペインティングナイフです。

3、次は白を同じように柔らかくして
道具でそぎ落として
紙面上にまとめておきます。

4、集めたパスの水色と白の2つを取って
混ぜ合わせます。
道具はペインティングナイフのほか、
画面で使っているクレパスマスターツールキットも便利ですよ。


5、調色した淡い水色を
背景の空にこすりつけて通常通り描きます。

今回使ったパスは、ぺんてるパステルと
クレパススペシャリスト。
柔らかめのオイルパステルを選んだのですが
正直言って作るのに手間がかかるし、
できた色も綺麗に塗るのが大変です。
意図したわけではないですが
盛り上げ技法みたいになりました。
広い範囲に使うのは無理そうです。
一部分に使うならありかもしれません。

◆まとめ
・スクラッチ技法と盛り上げ技法得意なのはサクラクレパス、こすり出しと混色得意なのはぺんてる(基本的にはオイルパステルは混色苦手)
・グラデーション作りでは布ぼかしがオイルパステル商品ごとの差がでにくい。揮発油ぼかしはクレパススペシャリストが優秀。
コメントを残す