パステル画の道具は一応揃ったけど…。
さて、どう描いたものか。
鉛筆で?木炭で?
それとも下書きしなくてもいいの?
こんなお悩みをヤフー知恵袋などで
見かけます。
今回はパステル画の下書きについて
紹介したいと思います。
目次(押すとその記事にジャンプします)
パステルの描き方/下書きの画材
パステルの描き方/
パステルの下書きに鉛筆、色鉛筆は使える?
パステルの下書きに鉛筆、色鉛筆が使えるの
でしょうか?
結論からいうとあまりやらない方が良いです。
鉛筆は、強く描くと線が光って見えてしまい
目立ちます。
Hなど硬い芯だと紙に溝ができてしまい、
そこにパステルの粉が入り込んだりします。
色鉛筆は油性が多く、ソフトパステル等は
水性です。
油分を含んだ色鉛筆は紙によくつきますが、
その上にソフトパステルで描いても
はじかれてしまいます。
でも絶対だめかというと、そんなこともあり
ません。色鉛筆も鉛筆も筆圧を加えず
うっすら各程度なら、
実はそれ程目立たちません。
また、水彩色鉛筆は水性なので、パステル
と相性もよいはずです。
パステルの描き方/下書きに使える画材はどれ?
一般的にパステル画の下書きによく使われる
のはこちらです。
木炭、ハードパステル、パステル鉛筆
木炭
木炭で下書きすると、パステルの色が濁らな
いか?という疑問が浮かぶと思います。
正解です。木炭の粉がパステルと混じって
鮮やかさが落ちます。
つまりパステルの色が濁るということです。
でも、逆に言うと明るくなり過ぎた色を
落ち着かせることができる、とも言えます。
例えば、明るすぎた色をグレーがかった色に
変えて落ち着かせる。
特に、影の部分に使えます。
木炭とパステルの色を混ぜたくなければ
パステルフィキサチーフをかけましょう。
ある程度防ぐことができます。
フィキサチーフなしで木炭の線を濁らせない
ようにするには、サンドペーパーという紙を
選ぶと良いです。
でも、日本の市販ではサンドペーパーは
小さいサイズしか売っていません。
そこで、サンドペーパーの代わりに
キャンソン社の”ミ・タント・タッチ”という
パステル専用用紙を使うと良いと思います。
ハードパステル、パステル鉛筆
どちらも下書きによく使われる画材です。
ハードパステル、パステル鉛筆で下書き後、
ソフトパステルで色をつけると馴染んで
着彩の妨げになりません。
ただ、ぼかして描いていくうち、
下書きはすぐ消えてしまいます。
形の狂いに注意して、制作途中で何度も引き
直すことが大事かなと思います。
また、細かい部分の描き込みにも使います。
ハードパステル、パステル鉛筆とも
使用方法はよく似ています。
違いは”パステル鉛筆は手が汚れない”です。
画材自体の詳しい説明はこちらです。
ソフトパステル・ハードパステル・パステル鉛筆等の商品紹介
パステルの描き方/下書きする?しない?
どの画材に限らず、絵を描く時に下書きする
かしないか悩みどころです。
そう言っておいて何ですが、
下書きしてもしなくてもどちらでも良い
と思います。
最終的に狙ったイメージの絵が描ければ良い
からです。
特にパステルは平描きで立体的にモノを
捉えるのが得意です。
風景画では下書き無しで上手く表現できる
場合があると思います。制作しながら、
途中で線を決めていくこともできます。
ただ、ベテラン画家も画面の上で位置関係
だけはしっかり決めてから描いているのは
共通していると思います。
多分、頭の中で構成ができているんでしょう。
慣れないうちは下書きする、が正解です。
私も、もちろん下書きします。
また、最初から細かい形をはっきりさせて
おかなければいけないモノは、下描きした方
が描きやすいです。
例えば、人物を描く肖像画や花や果物、
ガラスの瓶を描く静物画。
風景画では小さな建物ではなく、
建物がメインの窓や扉などしっかり描き込ま
なくてはならない場合などが当てはまります。
パステルの描き方/下書きの修正方法
下書きしていて、間違った線を引いてしまう
ことはよくありますよね。
ここでは、パステルの
下書き段階での修正方法をご紹介します。
木炭の下書きの修正
木炭は、定着力が弱いため手や布ではたけば
簡単に粉落ちします。
他には食パンか練り消しゴムを使います。
最終手段としてプラスチック消しゴムも
使えますが、紙を痛めることがあります。
なるべく使わないほうが良いです。
木炭については「デッサンと言う礎」という
サイトに詳しい記事があります。
ハードパステル、パステル鉛筆の下書きの修正
柔らかい筆、布などを使って拭います。
少しくらいなら指でこすって色を薄めて、
新たに描いても問題ありません。
下書きは着彩してしまえば、
殆んど消えてしまいます。
気になるのでしたら、練り消しゴムで消す
と良いですね。
パステルの描き方/下書きでの簡単なモノの捉え方「単純化」
世の中全ての物は複雑な形をしているように
見えます。
実は私たちは目で見る時、モノを簡略化して
捉えているんですよね。
ぱっと見た印象で捉えていると言えます。
絵に描くときに、この印象は使えます。
〇、△、□に単純化して描くという方法を
紹介します。
全てのものを〇、△、□と単純に置き換えて
描くという方法です。
例えば風景でよくある樹木でも、△に〇が
いくつも重なってできている、と捉えます。
応用で球体、三角錐、四角柱に置き換えます。
こうすると、更に奥行きが出ます。
単純化した後で細かい部分を描きます。
下書きの最初はこんな感じで観察して、
複雑なモノを単純化してみましょう。
もちろん、他にも構図や遠近法、色彩理論等
色々あります。
でも、〇△□だけでも結構使えます。
何パターンか描いてみました。
【パターンその1】
黒い部分は目障りな部分です。
写真では、重なって見づらくなっている部分
がたくさんあります。
これは意図的に下書きの時、削除します。
修正後はこのようになりました。
【パターンその1修正後】
【パターンその2】
これも、黒い部分があまり良くないと思う
部分です。
少しだけ見えて目障りになっています。
▲をもっとはっきり上に出すか削除するか
すれば良いと思います。
この場合△はたくさんあるので、削除しまし
た。修正後はこのようになりました。
【パターンその2修正後】
【パターンその3】
今度は、少し立体的に見えるように
円錐や球体、半球体もどき(左手前の木)
を描きました。
見切れている目障りな形もあります。
黒く塗ってある部分がそうです。
修正後はこのようになりました。
【パターンその3修正後】
パステルの描き方/下書きの方法の1つ「トレース」
〇△□の方法は、フリーハンドで
実物、写真を見て描く両方に使えます。
観察眼を鍛えることもできるでしょうが、
多少なりとも手の訓練も必要です。
もうちょっと誰でも最初から下書きできる
方法はないんでしょうか。
という訳で”写真をトレースする”方法を
ご紹介します。
【トレースで準備するモノ】
・鉛筆…あまり薄い(硬い)Hなどより濃い
(柔らかい)Bや2Bが写りが良いです。
・トレーシングペーパー…薄い透ける紙
トレーシングペーパーは、転写だけでなく
パステル画の保護もできます。
一枚ずつの紙の保護にはマスキングテープも
必要です。このテープはホームセンターの
塗料のコーナーや画材店で手に入ります。
では、早速トレース(転写)しましょう。
パステルの描き方/トレース実践「薔薇の花を描く」
フリー画像をトレースした下描きを着彩して
みました。「薔薇(ばら)の花」です。
画像の花の色はオレンジですが、黄色に変更
しました。
【使った画材】
ソフトパステル:
ラウニー、ファーバーカステル
ハードパステル:
ターレンスジャパンのヌーベル
パステルペンシル:スワンスタビロ
木炭:伊研のやなぎ
紙:仏キャンソン社のミ・タント紙
(スケッチブックF4サイズのベージュ色)
仕上げにパステルフィキサチーフをスプレー
して完成です。
これはホルベインの定着液です。
【完成作品】
【描いてみて反省点など】
とても淡い感じに仕上がりました。
背景を後付けで描いたのは失敗でした。
もう少し計画的に全体を通して描きたかった
です。今後に生かそうと思います。
ミ・タント紙は割と薄めの紙です。
これ以上重ねて描くと、粉落ちが深刻になる
ので、この辺りで止めておきました。
良かったのは、木炭を初めて使ったことです。
今回木炭は色を抑えるために使いましたが、
線を目立たせることもできるので挑戦したい
と思います。
絵に使う写真は自分で撮った写真
又は著作権フリー画像を使う
下書きする時、たいてい実物か写真を見て描
くと思います。
貴方は絵画用の写真はどうやって手にいれて
ますか?
・自分で撮った
・他人の撮ったのをネットからダウンロード
私はどちらも使っています。旅行好きなので
自分で撮った写真を使う方が多いかも。
自分で撮った写真はグーグルフォトという
クラウドサービスなどに保存しています。
無料で保存でき、更に容量が欲しい場合は
有料で追加保存もできます。
PCのほかスマホ、どの端末からもアクセス
できて便利です。
自分で撮った写真なら問題ないのですが、
他人の撮った写真をダウンロードする場合
注意が必要です。
他人の撮った写真をもとに絵を描いて、
SNS等に公開したりすると著作権の侵害に
なる場合があるからです。
勉強や楽しみで家族や身近な有人に見せたり
ならOKのようです。
著作権侵害で訴えられる、そんなことに
なりたくないものですよね。
そこで、おススメするがフリー画像サイト。
著作権フリーで自由に使えます。
【フリー画像サイトおススメ3選】
・Pixabay
・ぱくたそ
・写真AC
著作権について、こちらの動画で詳しく解説
されています。参考にどうぞ。
◆まとめ
・一般的に下書きにはハードパステル、パステル鉛筆、木炭が使われる。
・鉛筆、色鉛筆はパステル画の下書きに向かない。但し、うっすら描く程度ならOK。
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