パステルの描き方。簡単、効果的な背景色の付け方3選

    描きたいモチーフを描いてから、さて、背景
    をどうしようか?なんてことありませんか。

    背景は絵の全体の雰囲気を左右する大切な
    ところ。モチーフと背景は一緒に進めるの
    が理想的なようですよ。

    今回は背景色の付け方3つご紹介します。

    ここで言う背景色の付け方というのは、白い
    紙に色を付ける方法です。

    特にパステル画では白い紙の色がパステルの
    色の隙間からチラチラと見えると目障りに
    なってしまいます。

    なので、最初に紙に色を付けるのは大切です。

    色を付けるのには他にもメリットがあります。

    それが、全体的な雰囲気を決めやすいこと
    です。実は紙の色を決める時に何となく背景
    の色として考えてるんですよね。

    背景の色はお好みですが、色の効果というの
    もあります。
    無難な色など、後でお話しますね。
    また、白い紙に背景色を塗った後パステルで
    着彩することを考えると、紙はパステル向き
    の紙を使うと良いです。
    一般的には、パステル用紙、水彩紙、画用紙
    です。

    では、背景色の付け方を3つご紹介します。

    ドライウォッシュ

    ドライウォッシュはパステル画の最も基本的
    な背景色の付け方です。
    パステルの粉を白い紙に擦りつけて画面に色
    をつけます。

    1、用意するもの
    パステルはグレーソフトパステル(ラウニ
    ー社)。ハードパステル(百円
    ショップとヌーベル)。

    紙は画用紙。ワトソン水彩紙などもおすすめ。
    カッター、硬い穂先の筆(豚毛など)。

    2、カッターでパステルを削る
    まず、色を付ける白い紙の上でパステルを
    カッター粉状に削ります。

    使うパステルは ハードパステルかソフトパス
    テルの一方、又は両方です。どちらかという
    と、ハードパステルの方が最初に色を付ける
    のに向いています。

    下地に塗るため色はそれ程こだわりません。
    むしろ灰色がかった色のほうが上に塗る色が
    映えるので良いかもしれません。(※特に狙
    った効果を出したい場合は別です。)

    赤と緑など反対の色を混ぜてもグレーが作れ
    ます。

    3、筆などでぼかす
    紙の上のパステルの粉を指や布、硬めの筆
    こすり付けて色をぼかし込みます。
    使っているのは油絵などで使う豚毛の筆です。

    4、筆以外でもぼかせる
    硬い筆(豚毛など)を使ってパステルの粉が
    紙の凹凸に埋まるように強くこすり付けます。
    筆がない場合は指や布、ティッシュなどでも
    擦り込みできます。
    布、ティッシュなどは繊維がパステルの粉末
    を拾ってしまい、薄くなりがちです。

    5、余分なパステルの粉を振るい落とす
    色が付いたら、余分なパステルの粉は紙を
    立てたり息を吹きかけて払います。

    6、パステル専用フィキサチーフのスプレー
    最後に、パステル専用フィキサチーフを
    スプレーします。
    これはパステルの粉を紙に定着させる為です。
    メーカーはホルベイン、ターレンスなど。

    7、完成
    紙の白い所が見えなくなるまで丁寧に刷り込
    むと完成です。

    水彩絵の具で塗る

    透明水彩絵の具不透明水彩絵の具(ガッ
    シュとも言う)を使って白い紙に背景色を付
    ける方法です。

    紙の上に水が乗ることで紙がウネウネと波立
    つ「波打ち」があるので、少々注意が必要で
    す。

    そういった意味ではパステル用紙より、
    ある程度厚みのある水彩紙か画用紙が向いて
    いるかと思います。
    波打ちが起きない方法もご紹介します。

    1、用意するもの
    F0サイズの木製パネルに、F4サイズのワト
    ソン水彩紙をカットして水張りしていこうと
    思います。

    用意するものは、F0サイズの木製パネル、
    F0サイズより大きいサイズの画用紙や水彩紙
    などでパステル向きの紙。

    カッター、定規、段ボール等の下敷き、
    筆洗、刷毛、水張りテープ、水彩用絵筆、
    透明水彩絵の具又は
    不透明水彩絵の具、
    ティッシュ

    2、カッターで紙をカットする
    カッターの刃で机を傷めないよう、下には
    ボールを敷いてます。
    紙は木製パネルより少し大きめに切ります。
    定規を使うとやり易いです。

     

    3、刷毛で紙に水を塗る
    カットできたら刷毛で紙の裏面に水を塗りま
    す。やや平たく滑らかな裏面です。

     

    4、水張りテープを手でちぎる
    紙に水が浸透するまでの待ち時間に、水張り
    テープをボードより少しだけ長めに手でちぎ
    って用意します。

      

     

    5、水張りテープはすぐに袋に片付ける
    水張りテープは湿気などでダメになりやすい
    ので必ず元のビニールに戻してきっちり袋を
    閉めておきます。

     

    6、紙は角がしんなりするまで待つ
    紙が弓のように反っているので、水が未だ
    完全に浸透していません。もう少し水を足し
    紙の角がしんなりするまで待ちます。

     

    7、木製パネルに紙を貼り付ける
    大分、紙がしんなりしてきたので木製パネル
    に貼り付けます。

     

    8、水張りテープを湿らせる
    次に、水張りテープの端を持ち、水を含んだ
    刷毛で押さえつけます。そして、テープを
    シュっと勢いよくひっぱります。

     

    9、水張りテープの貼り方
    紙をパネルの側面で折り込みます。水張り
    テープは先に紙に半分だけ貼ります。
    余った部分をパネルに貼り付けます。

    10、紙の隅は△に折りたたむ
    角の部分の紙は動画のように三角に折りたた
    んでから上に水張りテープを貼ります。


    11、ボード端の水張りテープは折りたたむ

    はみ出した水張りテープは四辺の隅で折りた
    たみます。
    長すぎたら切ってもいいかもですね。

    12、水彩垂らし込みに用意するもの
    ここからは、透明水彩絵の具で平塗り
    垂らし込みをしていきます。

    13、刷毛で紙に水を塗る
    まず、刷毛に水を含ませてワトソン水彩紙の
    上で往復させます。

     

    14、透明水彩絵の具を水で溶く
    バーントシェンナイエローオーカーという
    色を水を含んだ筆で混ぜ合わせます。

     

    15、水彩絵の具の平塗り方法
    水彩紙の湿り気をみながら、混ぜた絵具を
    水彩用の平筆平塗りしていきます。ムラに
    ならないようにするには、濡れている間に
    水気をぬぐった筆で画面をなでます。
    すると、筆に絵具がひっぱり込まれるので、
    上手くいきやすいです。

    特に紙の端は絵具が溜まりやすいので、ティ
    ッシュでぬぐった筆で軽くタッチすると余分
    な絵具が筆に吸収されてムラをなくせます。

     

    16、もう一度、刷毛で水を塗る
    この後、別の作業をしていたため、完全に
    紙が乾いてしまいました
    なので、もう一度、紙を濡らします
    濡れているところに絵具をにじませる垂らし
    込み(ウェットインウェットとも言う)を
    するからです。

     

    17、スパッタリング
    (筆を振ったりして絵具を飛ばす)
    カドミウムレッドオレンジという色を水で
    溶いて筆に含ませます。
    指ではじいたり、筆を振って紙に飛沫を飛ば
    したります。

     

    18、完成
    初めての水張りにしては上手くいきました。
    これにパステル画を描いていこうと思います。
    2度目の水塗りをせずにスパッタリングだけ
    すれば、はっきりとした水彩の模様ができま
    す。それも面白い効果が出ます。

    波打ちを防ぐ方法

    ●水張りする
    板の上に湿った紙をピンと貼り付けて乾かし
    ます。板と紙の間の空気を抜くことがポイン
    トです。

    水張りした紙に絵を描いたあと、紙を板から
    剥がすと綺麗な状態なまま保存することがで
    きます。

    他の方の動画ですが、水張りの詳しいやり方
    はこちらが分かり易かったです。

    ●ブロックタイプのスケッチbookを使う
    スケッチブックの中でもブロックタイプと
    いう綴じ方のスケッチブックを使うと、紙の
    波打ちが起きにくいです。

    ブロックタイプは紙の4辺全て糊付けされて
    綴じられているので、水張りされた紙が既に
    用意されているようなものです。
    絵を描いた後で紙を剥がせば綺麗なままです。

    ●ボードタイプの紙を使う
    ボードタイプというのは、厚紙や木製の板
    (ボード)に紙を貼り付けてある寄せ書きの
    色紙のようなものです。

    これを使えば紙の波打ちが起きにくいです。
    ただ、ボードタイプでも紙の種類はいろいろ
    ありますし、厚さも選べます。

    ちなみに、今回使ったのは1㎜の厚さのミュ
    ーズ紙のボードでしたが、水の使い過ぎもあ
    って少し波打ちが起こりました

    水彩を使ったパステルの下塗りには水彩紙か
    画用紙
    のボードが良いかと思います。

    水彩紙の中にも色々種類がありますので、
    詳しく知りたい方は下の記事をご覧ください。

    墨汁の垂らし込み

    水墨画のような背景を作って鮮やかな花を描
    くのにも使えます。水を使うので、波打ちを
    防ぐための方法「水張り」などしましょう。

    墨汁、墨汁を注ぐ皿、柔らかい毛の刷毛を用
    意します。濃い黒色にしたい場合には、固形
    の墨、硯(すずり)を追加します。


    1、用意するもの

    B4サイズのキャンソン紙・中目ボード1㎜厚
    墨汁、お皿、筆洗(水入れ)、水彩用の刷毛
    と筆筆は習字用でも。色を付けたい場合は
    透明水彩絵の具又は不透明水彩絵の具。

    2、刷毛で水をボードに塗る
    刷毛に水を含ませ、先を筆洗の角で水を少し
    しごいてからボードに満遍なく刷毛を滑らせ
    ます。

     

    3、墨汁を用意
    墨汁を絵皿に注ぎます。絵皿は硯でもプラス
    チックでも何でもOK。片付けが簡単なもの
    が良いかも、ですね。
    濃すぎるのように感じたので少しを足しま
    した。

     

    4、もう一度、刷毛で水をボードに塗る
    ボードの紙が乾きすぎたので、もう一度刷毛
    でキャンソン紙に水を含ませます。

    5、スパッタリングで垂らし込み
    墨汁を含んだ筆を紙に振って飛ばしたり、筆
    を指ではじいたりして黒色を画面ににじませ
    ます。水墨画のようですね。

    6、流し
    ボードを傾けて墨を流して遊んでみました。

     

    7、水彩絵の具のスパッタリング
    今度は透明水彩絵の具を同じ要領で画面に散
    らします。色はバーントシェンナイエロー
    オーカーの混合色です。

     

    8、たらしこみ(ウィット・イン・ウェット)
    こういう墨や水彩をにじませる技法を
    たらしこみと呼ぶそうです。
    普通は筆で色を直接紙に置いてにじませます。
    今回はスパッタリングという筆を振ったりし
    て色を乗せる方法を取りました。

     

    9、完成
    乾くと、こんな渋い感じになりました。
    ここからパステル画を描いていく予定です。

     

    背景色の選び方

    無難なのはグレーアンバー(琥珀色)
    ベージュなどの中間色です。

    と言うのも、コントロールする明暗の幅が
    少なくて済み簡単だからです。明るさと暗さ
    とそれぞれ幅を考えればよいということです。
    でも、1番明るい白い紙だと中間のグレー
    から1番暗い黒までの明暗の幅を、全て決め
    なくてはいけないので難しくなります。

    グレー何にでも合わせやすいので、最初は
    グレーから描くというのも1つの手です。
    アンバーやベージュなど台地の色っぽいもの
    風景画を描くのに向きます。

    これらの中間色を背景色にすると柔らかい、
    自然な雰囲気の絵に仕上がりやすいです。
    慣れてきたら描くモノと反対の色を背景
    色に挑戦です。

    反対の色というのは色相環(しきそうかん)
    の反対側にある色のことをいいます。
    色相環とは全ての色味をドーナツ型に表した
    ものです。

    例えば反対の色は反対側の、という
    ことになります。
    こういう反対の色を補色(ほしょく)と呼び
    ます。赤の補色は緑、ってことですね。

    そして、補色や黒などを背景色に使うと強い
    印象の絵になりやすいです。
    ただし、気をつけないと、けばけばしくなっ
    てしまうかもしれません。

    描きたい絵の雰囲気に合わせて、背景色を
    使いこなせるよう一緒に頑張りましょう。

    ◆まとめ

    ・紙の色が背景色つまりは絵の雰囲気を左右する。 
    ・紙色の付け方はドライウォッシュが基本 。
    ・グレーなど中間色は無難で自然な雰囲気、補色、黒などは強い雰囲気。

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