パステルの描き方。使えるテクニックは使いましょう!

パステルは簡単に誰でも描けますが、
ちょっとしたコツ、テクニックを知っている
ともっと表現の幅が広がり楽しくなります。

例えばハッチングやクロスハッチングという
平行線を使ったテクニックを使えば絵に
立体感や強さが生まれます。

今回は、パステルの描き方のテクニック
ご紹介します。

パステルの描き方/ドライウォッシュ(粉末塗り)


パステルを粉末状にして紙に刷り込んで色を
つけるテクニックがドライウォッシュです。
水彩の技法のウォッシュと似ていて、画面を
均一に塗ることができます。

ほとんどの場合、この方法は広い範囲を塗る
時に使われます。本格的に描く前の紙全体に
色を付ける下塗りに使われることが多い
です。
方法は2通りです。


【1つ目の方法】

1、ソフトパステルorハードパステルを描く
紙の上で
カッターで粉状に削り落とします。
画像は赤いハードパステルをホワイトワトソ
ン水彩紙に粉状に削り落としたところ。

2、削ったパステルの粉末を指で紙の表面に
こすり付けながら紙全体に着彩します。

【2つ目の方法】

1、ソフトパステルorハードパステルを陶器
やプラスチックの容器等
カッターで粉状に
削り落として入れます。
画像は、ハードパステルの赤とソフトパステ
ルの黄色をカッターで陶器の皿に粉状に削り
落としたところ。

2、削ったパステルの粉末を布やコットン
に含ませ、紙の表面にこすり付けながら紙全
体に着彩します。画像は、ティッシュを指に
絡ませて粉をふくませているところ。
ぼかすと下の画像のように淡く色づきます。

◆ドライウォッシュのポイント

ソフトパステルorハードパステルはどちらも
使えますが、ソフトパステルよりもハードパ
ステルの方が定着力は良い
です。

また、カッターの代用としてぼかし網や茶こ
が使えます。カッターでパステルを削って
いくと粉の大きいものが出てしまいます。

大きい粉は画面でムラになります。
ペインティングナイフなど何でも良いので
潰しておきましょう

ぼかす道具ですが、パステルの粉末を指で
擦(こす)るのと布やコットンで擦るのとで
は、紙への付き方に違いが出ます

指の方が厚塗りになりやすく、布などで擦る
と繊維に粉がついて薄づきになりやすいです。

右が指でぼかしたもの、左がティッシュでぼ
かしたものです。

その他に刷り込む道具としてがあります。
筆は先の硬いものでないとパステル粉を紙に
擦り込み難くなります。

私は油絵用の豚毛の筆を使っています。柔ら
かい筆だと逆に粉を筆先が吸い込むことがあ
ります。柔らかい筆は間違って描いた箇所の
修正に使えますが、刷り込みには使えません。

画像は名村というメーカーの豚毛の平筆です。
握る柄が少し短く、普段使いにしています。

◆ドライウォッシュの他の下塗り方法

下塗りとしては、このドライウォッシュ以外
水彩絵の具やアクリル絵の具で着彩したり
ハードパステルの腹を使って大雑把に画面を
立体的に描いたり
といった方法等もあります。

最近、アメリカで開発されたパンパステル
というドライパステルをドライウォッシュの
代わりに下塗りとして使っている画家さんも
いるようです。
これはパステルを粉状に削る手間がかからず
簡単にグラデーションも作れ便利みたいです。

パステルの描き方/ラインストローク(線描き)

ハードパステル、ソフトパステルを立てて
線を引く
テクニック。リニアストロークとも
呼ばれています。画像は、ソフトパステルで
筆圧やスピードを変えて引いた色々なライン
ストロークです。

そんなこと?と思うかもしれませんが、そう
でもないのです。パステルの角で
筆圧、角度、線の長さ、描くスピードに変化
をつけると線の表情は変わります。

特に、仕上げで筆跡(タッチ)を残す時に
とても活躍します。筆圧を変えるには
パステルを持つ位置を変えてみると良いです。

この時パステルが折れるかもしれません。
が、折れたパステルは角(エッジ)が復活し
て使えるし、寝かせて使うこともできますよ。

パステルの描き方/ハッチング(平行線引き)

一定の面を短い斜めの平行線を同じ方向に
複数引いて埋める
テクニック。細い線を引く
のでハードパステルorパステルペンシルが
向いています。ソフトパステルでも角を使え
ば描くことができます。

違う色を重ねてハッチングすると混色したよ
うに見えます重ね過ぎると色が濁って見え
てしまう
ので注意が必要です。

仕上げに画面を強調したい時、光と影を演出
したい時
などに思い切ってハッチングをする
とメリハリが生まれ上手くいきやすいみたい
です。必ず一方向から入れるのが原則です。

パステルの描き方/クロスハッチング(平行線引き×2)

一定の面をそれぞれ違う方向のハッチングを
重ねて埋める
テクニック。
これもハッチング同様、ハードパステル、
パステルペンシル、ソフトパステルで
描くことができます。

クロスハッチングを違う色味で2重、3重に
重ねて描くと下の色が透けて見えて、微妙な
色合いになります。
下の層のクロスハッチングの色が上の層より
暗いと色に深みが出てきます。

クロスハッチングはこのテクニックだけを
全体に使うというのでない限り、
使い過ぎないことがコツのようです。
つまり、別のテクニックと併用する場合は
限定的に
クロスハッチングすると効果的です。

使いどころはハッチングと同じです。

【青1色のクロスハッチング】

【青、赤の順にクロスハッチング重ね】

【青、赤、黄の順にクロスハッチング重ね】

パステルの描き方/サイドストローク(平塗り)

サイドストローク(平塗り)はハードパステ
ル、ソフトパステルを寝かせて平描きする
テクニックです。

主に広い面積を塗るときなどに使えます。
上の画像は、ソフトパステルの長さを折って
向きや力を変えて色々なサイドストロークを
描いたものです。

作品の基礎づくりの下書きとして明暗、形、
色をパステルの腹を使って大まかに描くこと
もできます。これは風景画で使うことの多い
方法です。
また、この下塗りにはハードパステルがよく
使われます。ハードパステルはソフトパステ
ルに比べて粉っぽさが少なく、紙への定着力
が良いからです。

逆に、細かな形を最初から決めなければいけ
ない肖像画や静物画、例えば花や果物等には
サイドストロークでの下書きは不向き
です。

サイドストロークの使い方は下書きだけでな
く、メインの画面の表現にも使えます例え
風景画、特に雪景色のキラキラ光っている
感じ
を表すのによく使われるようです。
これにはソフトパステルで点描に近い短い線
の長さのサイドストロークが使われます。

サイドストロークは筆圧、パステルの長さ、
描く時の向きによって筆跡(タッチ)が変わ
ります
。パステルの長さは表現したいタッチ
にするために短く折るのも良いですね。
下の画像は短く折ったラウニーのソフトパス
テルです。

余談ですが、私は短くなりすぎたパステルは
粉末状に削って100円ショップの小さい容器
に入れて、ドライウォッシュに使っています。

パステルの描き方/スティプリング(点描)

スティプリング(点描)はハードパステル、
ソフトパステルの先端や角を使って点や短い
点線を描く
テクニックです。スティプリング
は質感表現に向いていて、特に光がキラキラ
と輝く様子を表現するのに最適です。

色は混色をする毎に濁っていきますが、この
方法なら濁ることがなく本来の色の美しさの
まま描くことができます

モネなどの印象派は視覚的に色を融合させる
テクニックを追求したようで、この点描も
印象派のスラーが編み出したようです。

輝く色の置き方の1つとして、次のような
方法があります。

・同系色2色に白を足して点描します。
この画像は紙にドライウォッシュで色つけ後、
点描しました。上は赤系2色に白、下は黄色
系2色に白の点描です。
白がキラキラして見えます。

・1層目に暗めの点描の層、その上の2層目に
明るめの色の点描を重ねます。

暗い色(こげ茶、赤紫、赤)を1層目に点描
したあと、明るい色を2層目に点描しました。
正直、本の説明だけではやり方が分からず、
上手くいったとは言い難いのですが、参考に
して下さい。

パステルの描き方/ブレンディング(混色)orシェイディング(ぼかし)

上の画像は、色々なブレンディング(混色)
又はぼかし(シェイディング)です。
両方ともソフトパステル等で描いた隣り合う
2つ以上の色
又は2層に描いた2つ以上の色
指等でこすって混ぜ均一な色の調子にする
テクニックです。

ハードパステル、パステルペンシルで描いて
ぼかすこともできますが、伸び具合は悪いで
す。描き始めの下塗りではハードパステルが
良く使われますが、着彩にはソフトパステル
で描いてぼかすことが多いです。

この方法でグラデーション(色の段階)を
作ることもできます。

隣り合う2つ以上の色を混色orぼかす

・ソフトパステルで黄色を塗ります。

・黄色の隣にソフトパステルの青色を塗ります。

・青と黄色の境目を指でぼかして混色します。

・青と黄色の間がぼかされて混色され、青、
緑、黄色へのグラデーションができました。

2層に描いた2つ以上の色を混色orぼかす
パターン1

・赤のソフトパステルを塗ります。

・赤の上に黄色のソフトパステルを塗ります。

・指でぼかして2層の色を混色します。

・オレンジ色にブレンドできました

2層に描いた2つ以上の色を混色orぼかす
パターン2

・紫のソフトパステルを、サイドストローク
気味に塗ります。

・上から白のソフトパステルを重ねます。

・指で馴染ませてぼかし、混色します。

・薄いぼんやりした紫色ができました。
下の紙の色が透けて見えています。

には微妙に油があって、パステルの粉が
紙につきやすくぼかす道具として使いやすい
です。
他にも布、筆、刷毛など道具によって印象は
変わってきます。

細かい部分やモノの境目をぼかすのには、
擦筆(さっぴつ)綿棒を使います。

これらは繊維なので、性質上パステルの粉を
少し取ってしまいます。なので、簡単な修正
にも使えます。

混色、ぼかしの注意点としては全ての部分を
ぼかしたままだと、ピンボケのような
のっぺりした弱い印象の絵になってしまう
ことです。

このテクニックの良い使い方としては、
ぼかした層の上にラインストローク等で
ある程度描いて仕上げると絵の印象が締まり
メリハリが生まれてきます。

パステルの描き方/重ね塗り

重ね塗りは、パステルで1層目を塗った後、
2層目以降を重ねて塗っていく色の層を作る
テクニックです。

重ね塗りには色々な塗り方がありますが、
2層目以降を軽いタッチで描いて、下の色が
透けて見えるようにする
点は同じです。

普通、1層目は暗い色や渋めの色を塗り、
2層目以降段々明るい色や鮮やかな色を塗り
ます。

重ね塗りにはフェザリング、スカンブリング、
スクリブリング
などがあります。

使うパステルはソフトパステル、ハードパス
テルです。どのパステルをどの色の層に使う
かは、完成作品のイメージや本人の好みによ
ります。

パステルの描き方/フェザリング(羽のようなタッチの平行線)

フェザリングは、一層目にパステルで平塗り
した上にパステルの先端又は角を使って羽の
ような軽いタッチの短い線を複数
引いていく
テクニックです。

ぼかし過ぎてのっぺりした画面の色を鮮やか
にすることができます。

・ソフトパステルで濃い紫を塗り指でぼかします。

・青味がかった明るいグレーで軽く短い直線
斜めに上から下に向かって引きます。
一方向からならどの方向でもOK。

・指でぼかして色を落ち着かせます。

・色は馴染みましたが、ぼんやりとしていま
す。

・もう一度フェザリングします。

・フェザリングした部分が活き活きとしまし
た。フェザリングはぼんやりしてしまった
画面を復活させることができました。

重ね塗りし過ぎて粉落ちが心配な場合はフィ
キサチーフで固定してからフェザリングする
と上手くいく場合があります。

パステルの描き方/スカンブリング(透かし塗り)

スカンブリング(透かし塗り)は主にソフト
パステルで1層目に腹の部分で平塗りした後
2層目に力を抜いて薄く平塗り
する方法です。

力を抜くことで、上の色はベールをまとった
ようにかすれて下の色が透けて見えます。
紙の色や1層目のパステルの色を暗めにして
2層目を明るめにすると色が光って見える
視覚的効果があります。

・青いソフトパステルを平塗りして指でぼか
します。

・その上に白いソフトパステルの腹で軽い
筆圧で横になぞります。

・下の青が透けて見えることがポイントです。

・指の腹で少しだけこすって馴染ませます。

・スカンブリング(透かし塗り)の完成。

ぼかし具合によっても雰囲気は変わります。
やり過ぎると、混色されて鈍い色になってし
まいます。
ポイントとしては描いた色をあまりぼかし
過ぎない
ようにすることです。

パステルの描き方/スクリブリング(走り書き、擦りぼかし)

スクリブリング(走り書き、擦りぼかし)
重ね塗りのテクニックのうちの1つでスカン
ブリングの応用
になります。

1層目を平塗りして指でぼかしたら、2層目を
軽いタッチでクルクルと線で適当に円を描き
ます。
下の色が見える程度にです。3層目も
描くなら同じ要領でクルクル円を描きます。

普通は、1層目に暗い色から始めて上の層に
明るい色を重ねていきます。

逆に1層目に明るい色、2層目以降を暗い色に
するとどうなるでしょう。
明るすぎる画面を落ち着かせられます。

スクリブリングは細かい描き込みが必要ない
広い面、背景に使うのに向いています。
つまりを塗る時使うことが多いです。

一層目に青のソフトパステルで平塗りして
指でぼかし、2層目に白のソフトパステルを
クルクルと軽いタッチで円を描きます。

・出来上がり。
下の青色が透けて見えています。

余談ですが、美術用語で「スクリブリング」
の意味は「走り書き」ですが、あるパステル
本では「擦りぼかし」と書かれていました。
なので、一応、日本語訳を両方使いました。

・実験的に下の層の色を平塗りではなく、
走り書きに変えてみました。

・指でぼかします。

・2層目に白のソフトパステルを走り書きし
ました。1層目に平塗りするのと比べてムラ
のある柔らかな印象に仕上がりました。

パステルの描き方/インパスト(厚塗り)

インパストとは、油絵のように色を何層も
重ね塗りして厚く塗ること
を言います。
重ね塗りとの違いは、下の色が殆ど見えなく
なる
点です。

ポイントは、2層目以降の色を塗る前に
パステルフィキサチフ(定着材)を画面に
スプレーしておく
ことです。
そうすることで粉落ちをある程度防げます。

フィキサチーフの種類は制作途中で使うため
ターナーのパステルフィキサチーフが向いて
います。

紙選びもとても重要です。あるパステル本に
よると、アーチストサンドペーパーという紙
が最適らしいです。ただ、日本では見かけま
せん。
日本ではサンドペーパーはホームセンター
大工用のサンドペーパー売っていますが、
小さいサイズです。

代わりにキャンソンのミ・タント・タッチ
いう紙が使えそうです。

他に適当な紙として、ビロード・ペーパー、
パステル・ボード
とパステル
の本で紹介され
ていますが、これらも日本では見かけません

特殊紙のベルベットペーパーチップボード
というのを個人的に見つけて試してみようと
思っています。

使えそうなのは簡単な厚塗りなら、
キャンソン社のミ・タント紙。
厚めの画用紙か、コットン多めの水彩紙
です。
もう少し厚塗りなら
同社のミ・タント・タッチ紙がおススメです。

ミ・タント・タッチ紙の注意点は2つです。
1つ目は、ぼかすことが殆どできないこと。
2つ目は表面がザラザラしていて強くこする
と指の腹を痛めてしまうこと
です。

インパストの効果は存在感が増すことです。
全体に厚塗りするより、見せたい箇所に部分
的に使うと良さそうです。

因みに上の猫の絵は、私が大工用のサンドペ
ーパー
を実験的に使って描いて作品です。
ソフトパステルのサンドペーパーへの食いつ
きが凄くて、パステルの減りが早いのに驚き
ました。

指もサンドペーパーの上でこすると痛いので
加減しながらやりました。
粉飛びは少ないです。細かい描写はあまり
できない
ことも分かりました。
大胆な表現と存在感がキーワードです。

◆まとめ

・下塗りはハードパステルでドライウォッシュ又はサイドストローク(平塗り)。
・ブレンディング(混色)とぼかしはパステル画の基本。ぼかし過ぎ注意 。
・重ね塗りは軽いタッチで下の色を透けさせる

 

 

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ABOUT US

N
こんにちは。管理人の「N」です。パステル画歴は5年くらい。ほぼほぼ独学で描いています。個展、グループ展、ネットでの販売歴が少々。仕事は自動車保険、年金記録調査、医療などの事務経験があります。クールですね、って言われることがありますが動物占いは「こじか」です。それから猫9匹囲まれて暮らしています。自然大好き、滝を見るとテンションが上がります。旅先でスケッチするのが趣味。